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つくば市における生成AI導入の経緯について

つくば市における生成AIの利活用ですが、横須賀市さんと同じく「LoGoチャット」というビジネスチャットツール(LGWAN-ASP)を通して、チャットボットを開発・実装して実現しています。

画面イメージ

チャットボットの愛称は、「AI顧問けんじくん」です。名前の由来も含めて、導入の経緯について記述したいと思います。

市長が利用していた

生成AIについては、市長が個人的に昨年から利用していました。生成AIの持つ可能性についていち早く気づき、議論を始めていました。

市長facebook記事

生成AI検討グループの立ち上げ

2023年3月27日、市長の声かけで、市長、副市長、顧問(筑波大学教授)、庁内関係部署(広報戦略課、科学技術戦略課、情報政策課など)からなる生成AI検討グループが立ち上がりました。
様々な意見が交わされる中、LoGoチャットを通して、生成AIとAPI連携したチャットボットの実装が提案されました。その後、つくば市顧問であり筑波大学システム情報系教授の鈴木先生が自ら開発を申し出てくださり、筑波大学との協力が始まりました。

試験利用の開始

生成AI検討グループの立ち上げから2週間後の2023年4月10日、早くもLoGoチャットを通して、チャットボットが試験的に実装されました。
開発者の鈴木健嗣先生のお名前にちなんで、チャットボットの愛称は「けんじくん」とし、検討グループを中心とした一部職員の間で試験利用を開始しました。

参考:「けんじくん」の全体構成

全体構成概略図

開発のメインは、LoGoチャットを通してAPI(GPT-3.5 turbo)連携するチャットボットになります。フレームワークはHubot、コーディングは主にJavaScript(一部、python)によるものです。チャットボットのスクリプトは、HerokuというPaaS上に実装しています。

「けんじくん」の急速なバージョンアップ

鈴木先生が急速に次々と機能をバージョンアップしてくださいました。その結果、試験運用開始から2週間ほどで、セキュリティ的(API連携により学習されない、全会話ログ保存など)にも、性能的(タイムアウトが少ないなど)にも、十分に運用に足ると判断できるレベルになりました。

参考:「けんじくん」独自機能

「検索:」機能

文頭に「検索:」を付けて質問するとWEB検索を行い、その結果に基づいて回答を作成してくれます。また、検索結果の初出や検索ワードも明示し、従来よりも回答の信頼性を高めています。(MicrosoftのBingAI相当)

NGワード登録機能

NGワードを登録すると、利用者がそのNGワードを入力した場合、生成AIへの質問を停止するとともに、管理者にアラートがとぶようになっています。

本格運用の開始

2023年4月25日、全職員2,150人(厳密にはLoGoチャットアカウント数)において本格運用を開始しました。主な周知事項は以下の3点です。

  • 文章の要約や挨拶文の作成など様々な業務依頼に対応してくれます。各自工夫して利用してみてください

  • 機密性の高い情報や個人情報、守秘義務のある情報は入力しないでください。

  • 必ずしも回答内容は正確ではありません。もっともらしいウソをつくことがあります。事実確認は必須です。

この段階で特にプレスリリース等は行いませんでした。

導入の公表

2023年5月10日、定例記者会見の場において、記者からの質問を契機に、既に生成AIを導入していることについて公表しました。
反響は大きく、翌日以降の新聞各紙(毎日新聞、茨城新聞、読売新聞、日本経済新聞など)で大きく取り上げていただきました。

おわりに

今回は、生成AI導入の経緯について書かせていただきました。次回以降は、現在進行形で取り組んでいることや、今後の予定などについて触れていきたいと思います。